DeNAって、創業当初、何をやっていた会社かご存じでしょうか。
今では、ソシャゲーの第一線で活躍する企業のイメージがありますが、創業当初は、ネットオークションを運営する会社でした。
創業社長は、元マッキンゼーの女性パートナー南場智子さんということもあり、経営については完璧な走りだし!かと思いきや、思わぬ展開が次から次へと・・・。
まさかのドタバタな出だしとなってしまいます。
戦略コンサルタントが陥りやすい、実際の経営における罠や、経営者としてのメンタリティの保ち方についても詳細に記載された一冊になっています。
本書は、DeNAを創業した南場智子さんが、どのようなきっかけで創業し、どのようにしてチームを築き上げ、成長へと導いたか。
元マッキンゼーだからこそできた経営手法や、ハーバードビジネススクール出身だからできたグローバルなネットワークを駆使した成長戦略、といった切り口ではなく、不格好だけど、皆が必死に取り組んで、結果的に成長していく企業の姿を学ぶことができます。
「仲間と何か成し遂げるっていいな~。」と、つい羨ましく思ってしまいました。
南場智子の生い立ち
父親が厳しい家で育ったそうでして、本書を通した印象では、昔ながらの亭主関白な家庭が頭に浮かびました。
東京の大学に進学することについても、とても反対されたそうです。そんな中でもなんとか東京の大学へ進学し、そこで留学も経験できていたのは驚きでした。
世の中では、生まれながらにして将来が決まってしまっているような話を耳にしますが、南場智子さんのように、自らその未来を切り開いている人もいることを、是非知ってもらいたいですね。
努力というか、好奇心というか、現状に満足しない心構えのようなものが、未来を切り開く最強の原動力なのだな、と改めて感じることができました。
家族の存在
新卒でマッキンゼーに入社し、ハーバードビジネススクールへ行き、その後戻りマッキンゼーのパートナーとして勤務し、そのまま起業。
その目の回るような状況については、このページを読んで頂いている皆様にも、容易に想像できるのではないでしょうか。
起業当初はご自身の収入が劇的に低下したことから、両親へ行っていた仕送りの継続が困難な状況となったそうです。
そのような中、父親からのメッセージで立ち直り、また仕送りを続けている姿を見て、人間は感情の生き物であることを再確認しました。
というか、父親の仕送りを継続して得続ける能力は現代のビジネスにおいてもかなり有用なのではないかと思ってしまいました。
上場して数年後、これから更にビジネスを加速させていくという経営者としてまたとないタイミングで、社長を退任し、一線を退くことを決意します。
その判断に至った背景には、ご主人の存在がありました。
ここでは本の内容がネタバレするので詳細は言及しませんが、家族の存在は何よりもその人生において影響力を持つな、と感じました。
最後に
最近、経営についての参考書を読むことが多いのですが、そこに記載されている経営方法は、まさにDeNAの経営そのものであるということに気付き、驚きました。
驚いた理由の一つとして、私の読んでいる経営理論の本は、2020年以降に書かれているものがほとんどであり、この「不格好経営」が出版されたのが2013年であることから、そのような理論が世に出回る前に、自然とできてしまっている。という点です。
裏を返せば、現在の経営理論の書かれた本は、この時期に成功したビジネスモデルについて言及されていて、これからの経営については、また新しい考え方が必要になるのかもしれませんね。
P.S.
カネコは南波さんと直接お会いして会話したことがありますが、本当にパワフルで熱い情熱をお持ちの方でした。この人のところで働いてみたいと強く思うくらい魅力的な方です。