カナダ人の著者G.キングスレイ・ウォードが自分と同じ経営者を志している息子へ、父親としての目線から“ビジネスの世界のルール”と“人間の機微”について書かれた本です。
著者は二度にわたる心臓の大手術を受けており、生きているうちにこれだけは息子に伝えておきたい、という切迫した気持ちで本書を書かれています。
ビジネスマンが遭遇するのであろうあらゆる局面について、その対応方法が実体験から描かれています。(決して悲しい内容ではないのでご安心ください。多くの学びがある本です。)
政治家の息子は政治家になり、医者の息子は医者になる。プロ野球選手の息子はまたプロ野球選手になるという、世の中でよく目にする光景は、このような親子関係から生まれるものなのだな。と、少し私自身と著者の家庭との環境の差に嫉妬しました。笑
父親(もしくは先輩)から見れば、息子(もしくは後輩)が立ち向かっている敵や、これから遭遇するトラブルはもう経験しており、どのように対応すべきか、痛いくらい心得ているというのがよく分かりました。笑
先輩の話はよく聞きましょう!笑
他人の過ちから学べ。自分ですべての過ちをする経験する時間はない
この表現は、著者の息子が飛行機の操縦を習っていた時に出会った言葉であり、この他人の過ちから学ぶことを、著者は“読書“を通じて行うべきであると記載されています。
世の中にはあまり目新しいことは多くなく、事業経営に関しても例外ではなく、その意思決定のほとんどは過去に幾度か繰り返されていることから、いずれかの本にすでに記載されていると著者は実体験を基に記しています。
これは私自身の昔話になりますが、高校野球をしているときに、コーチより「“学ぶ”とは何をすることか?」という質問をされ、当時学生生活しかしたことのない私は、「授業に出ることです。」と回答しました。
そのコーチは私に、「学ぶとは、“読書をする”ことである。」とその場で教えてくれました。このときは正直、この人何言ってんだろうと思いました。笑
学生生活が終わり、社会人として生活する中で、“読書をする”ことの意味や、その難しさ(本読む時間がない)を何となく理解してきました。
そんな中、この本を読んで、やっと「成程!そういうことか!」と納得することができました。皆様も読書してみましょう!笑
批判の90%は耳を傾ける必要がない
著者は息子が批判されていることについて、まず、批判者について調べることが賢明であると記載しています。つねに他人を批判している人も多く、冷静に批判してくる人を評価する必要があると言います。
人生の途上で出会う人の内、聞く価値のある批判は10%程度であり、残りの90%の人たちの動機は、「“羨望”、“悪意”、“愚かさ”、あるいはただの“無作法”」であると記載されています。
世の中には「批判をされなくなったら終わりだ。」とか、「批判する人の意見を大切にしよう。」とか言っている人がいる中、著者はかなり違うポジションを取っているように感じました。
それは、日本人と西洋人の文化的な背景によるものも大きいように感じる一方、長年経営者としてビジネスを行ってきた人が培った生き残り方なのかな。とも思いました。
資金繰りの難しさは世界共通
著者の息子は、会社の予算、財務諸表、資金繰りを任されていて、手堅くこなしていたと記載されています。
そんな息子が会社からお金を貸して欲しいと、予期せぬ請求書が着てしまったと、著者へ言ってきたことについて、父親の仰天している様子や、今後の対策等について記載されています。
私は金融機関で働いていた経験があるのでこのような事象によく出会っており、心配になる父の気持ちは理解できたのですが、私から言わせれば“アルアル”です。笑
企業へ融資を実行した融資担当者が、融資先の企業の資金繰りについて毎月あ~だこ~だ言っているにも関わらず、自分はクレジットカードの請求額に対応ができずにリボルビング払いにしていたり、融資先の自己資本比率について口酸っぱく話しているにも関わらず、自分は住宅ローンの支払いに毎月追われている、つまり債務超過である人をたくさん見てきました。笑
普段は完璧に経理業務を行う経理担当の方がパチンコ依存症で自らの資金繰りは破綻していたこともありました。笑
沈黙は金って誰にとっての金なんだろうか
この言葉はよく聞くと思います。著者も静かにしていた方が良いというスタンスを取っています。私の実体験からも、沈黙は金であることはとても良く理解しております。
何となく、物静かな人がそれらしいことを言うと説得力もあり、分からないことについて分からないですと言っても許されると言いますか、評判がマイナスになることはないというのが私もよく目にしてきました。
これは完全に好みの世界だと思いますが、本当に困っているときや、どうにか物事を前に進めたい局面では沈黙は本当に金なのだろうかと思うことがよくあります。
著者は、事業を数多く手がけ、それを息子に継がせているという前提なので、組織構造や取引先との関係も構築されている上で息子にこの沈黙は金のスタンスでいろと記載しているという点を踏まえて読むのがいいかなと思いました。
私は静かにしてられない為、沈黙は金を実行できる人に嫉妬しています。笑
最後に
これ以上内容について書いてしまうとネタバレするのでこの辺にしますが、この本はAmazonで働いている方が推薦している本で、その方は本の中身が擦り切れるまで何度も読み返していて、何回か購入しなおしているとも言っていました。
ビジネスの基本きであるとも言っていたので、ビジネスマンの方は一度読んでみるのもいいかと思います!