ディズニーのCEO(社長)が、元々はテレビ局のスタッフだったということを、皆様はご存じでしたでしょうか。
ディズニーのCEOであるロバート・アイガーが、どのような道を経てCEOの座にたどり着いたのか、そして、当時低迷期であったディズニーをどのように復活させたのか。
「そもそも、ディズニーって業績低迷してたの?」
と疑問に思う方もいるかと思います。
ウォルト・ディズニーがディズニーの世界を生み出してから今まで、最強伝説は永遠に続いていたと信じている方もいらっしゃるかと思います。
しかし、ロバート・アイガーがCEOでなかったら、アナと雪の女王や、その他のアニメーションによって世界中を感動に包むことは絶対にできなかったでしょう。
本書は、ディズニーのCEOがどのようにしてCEOになったか、そして、CEOになってから現在まで、どのような問題に対処し、企業を飛躍的に成長させたかについて詳細に記載されています。
企業に勤めている皆様、この本を読み、社長まで叩き上げるためのマインドセットと、万一、社長になったとして、どのように企業を伸ばしていくのかを先読みしてみましょう。
企業の成長を加速させるM&A戦略
ロバート・アイガーがCEOになる前も、なった後も、ディズニーはM&Aを積極的に行ってきました。
ソーシング方法や株主へのアプローチの方法が、他にはない発想力があり、また、一見無理に思える取引でも、その可能性に賭けていく姿勢に、とても強い刺激を受けました。
今やディズニーアニメーションには欠かせないピクサーについても、当時創業者であり、筆頭株主でもあったスティーブ・ジョブズとの交渉のやり取りや、株式交換後の経営の方針についてのやり取りも、とても貴重な内容となっています。
どのようにしたらM&Aの実行後にシナジーを最大限まで生み出せるかを考え抜き、その考えを適切に部下へ伝え、実走する姿に、企業にはトップのリーダーシップが求められており、責任感の強い経営力こそが企業の成長のカギであると実感しました。
出世に対する欲
ロバート・アイガーが下積み時代から、役員になるまで、とても順調に出世をしていきます。ただ、この時のマインドはどこか“ダメで元々”という感じがあり、出世するために仕事をしている感じは全くなく、ただ純粋に仕事に取組んでいたように感じました。
一方で、ディズニーのCEOに手が届くまでに出世されたロバート・アイガーは、どこかぎこちなく、仕事に対する本質的な考え方というよりは、“どうしたらCEOになれるのか?本当になれるのか?”といったことが頭のどこかに過り、変にストレスを感じているようにも見え、明らかにパフォーマンスが低下しているように感じました。
私も過去に何度も同じような現象を見てきました。
上司が、自らの出世のために、本来、クライアントから求められている業務ではなく、内部の管理体制の強化に重点を置いてしまい、実際に現場で対応するスタッフはクライアントと出世欲に駆られた上司の板挟みになってしまうケース。
自らの業績評価がトッププライオリティーであり、スキルを磨き、社会へ貢献することを忘れてしまった上司が、誰もやりたくない仕事を引き受け、部下にそれをやらせる。部下は大きくモチベーションを落とす一方、上司は本来の実力よりも高い評価を受ける結果になる。
この本を読んで、真のリーダーに求められていることについて正しく理解し、このようなことのないように、気を付けましょう。
最後に
“これまで積み上げてきたことを壊すこと。”
これは怖いですよね。
私は仕事上で、どう見ても撤退すべき事業なのに、どうしてもしない、という意思決定を見ることがあります。
不思議ですよね。どう考えても間違った選択をしている、というより、正しい選択ができていないのですが、事実としてこのようなことが頻繁に起きてしまいます。
本書にはその原因と、対処法が書かれていますので、その視点からも読んでみると面白いと思います。