成功している企業は、どうして成功できているのか。
業績が向上しない企業は、どうしてその成長が止まってしまうのか。
私が過去に、ある大企業の過去の業績推移を分析や、将来計画の策定に一部関わらせていただいた際に、
「どうしてこの企業はずっと業績が横ばいなのか。」
と疑問に思ったことがあります。
様々な原因が複合的に生じているのも事実ですが、根本として経営に何かしらの問題があるのではないかと考えるようになり、その答えを探していました。
業界には勝ち組と負け組が存在しますが、過去のある時点から、急にその優劣が逆転していることが多くあります。
本書では、この企業の生存競争について、類似企業を比較する形式で、企業経営における勝者の原則を学ぶことができます。
経営者の方や、これから起業を考えている方、企業経営に関わるコンサルタントの方は必見といっても過言ではないと思います!
基本的な考え方は“両利きの経営”と似ている
短期的な成長と、長期的な成長を両軸で行うという点において、“両利きの経営”と考え方はとても似ているように感じました。
既存サービスの改良改善を行い(満足せず向上させる)、新たなサービスや課題への取り組みをダイナミックに行うというのは、当たり前のように聞こえますが、なかなか難しいことでもあります。
日本の一部の大企業では、既存サービスの改良改善ばかりを行う一方で、業績を飛躍的に伸ばすためにM&Aを実行するも、高い値段で株式を買ってしまっていたり、PMI(買収後の統合プロセス)に失敗し、獲得するはずだった資産をうまく手に入れられなかったりしている現状があります。
創業が古い会社では、改良改善がとても上手であるものの、これ以上改善が困難であったり、マーケットが求めているもの以上の過剰なクオリティーとなり、価格競争で負けてしまうケースもあります。
人材登用に対する考え方
社内の人材登用について、成功している多くの企業で生え抜き社員を経営者としているケースが多いというデータが記載されていました。
これについては、紹介されている勝ち組企業の創業が比較的古く、当然GAFA等の新しいプラットフォーマーのいる経済環境を前提として考慮されていないことから、もしかしたら考え方にギャップを感じる人も多いかと思います。
生え抜き経営者とプロ経営者には、それぞれ長所と短所があると思いますので、対象ビジネスの本質を理解した上で、どのような方を経営者として選出するか考えていく必要があるように感じます。
最後に
務めている会社の経営理念と、実際の業績とその内容について、よく考察してみると今後勝ち組になるか、負け組になるかが見えてくるかもしれません。
“創造性”を重視している企業の売上高の大半が、“形式的な事務作業”で生み出されるものであったりすると、その業績を向上し続けることは、困難であるように感じます。